大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和41(オ)1073 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人中村生秀の上告理由一、二、三について。

訴外Dが被上告人Bからその所有の物置の一部を借り受けたとの原判決判示は、

本件土地の転貸借成立に至る経緯であるから、口頭弁論における当事者の主張を要

するものではなく、かつ、右事実は原判決挙示の証拠により肯認できる。また、原

判決が、その判示前段において、昭和三〇年一一月頃被上告人Bが本件土地の一部

をDに転貸したことは当事者間に争いがないとして、右事実を確定したことは所論

のとおりであるが、判示後段において、その頃、BとD間にDが取り毀した物置の

賃料として、また、昭和三五年に本件土地の賃料として、それぞれ金銭が授受され

た旨の判示は、単に授受された金銭の趣旨についての判示に止まるから、必ずしも

右判示前段と矛盾するものではない。なお、甲九号証は、金銭授受の日時が昭和三

五年一一月三日であることを証するものであるから、所論の原判決判示(一一月一

日とあるのは一一月三日の誤記と認める。)に牴触しない。原判決に所論の違法は

なく、論旨は採用しない。

同四について。

原判決が適法に確定した事実関係の下においては、被上告人BのDに対する本件

土地の一部の転貸につき、賃貸人である上告人に対する背信行為と認められない特

段の事情があるとして、本件契約解除の効力を否定した原審の判断は相当である。

原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。

同五、六について。

五の所論賃料および転貸料の年額の差等は、原審もこれを考慮に入れたうえで「

- 1 -

背信行為であると認められない特別の事情が存する」としたものであることを、判

文上、窺うことができ、原審認定の諸事実を総合すれば、その判断は首肯しうる。

また、所論六は、訴外Eより同Fへ、Fより被上告人Bへの賃借権の無断譲渡を云

々するけれども、上告人は、第一審の所有権に基づく第一次請求において、適法に

賃借権の譲渡を受けて正権原を有する旨の被上告人Bらの抗弁を争い、その排斥さ

るべきことを主張したが、容れられず、第一次請求を棄却されて、この点につき不

服の申立をしなかつたものであり、原審において審判の対象となつた、Dに対する

無断転貸による賃貸借契約の解除に基づく第二次請求については、なんら所論のよ

うな賃借権の無断譲渡に関する主張をしなかつたことが明らかであるから、原審が

この点につきとくに判断を示さなかつたことは当然である。原判決に所論の違法は

なく、論旨は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

裁判官 色 川 幸 太 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!